Brew Note 006 STRAWBERRY: 余韻に咲く、佐渡の紅い果実

Brew Note 006 STRAWBERRY: 余韻に咲く、佐渡の紅い果実

約2分

目次

2026年の仕込みを振り返って

003から005まで、怒涛の連続仕込みが続きました。副原料を変え、温度を変え、日数を変える。毎回「今度こそ」と思いながら仕込み、毎回「次はこうしよう」という課題が生まれる。そのサイクルを繰り返すうちに、006の仕込みを迎えていました。
今回のBrew Noteは、そんな試行錯誤の記録です。うまくいったこと、想定と外れたこと、それでも生まれた予想外の味わい。造り手の視点から、ありのままにお伝えします。

006 STRAWBERRY:果実を「余白」に描くというアプローチ

Crafted Seriesの第六弾で私たちが選んだのは、佐渡産のブランドいちご「越後姫」。糖度が高く酸味が穏やかな越後姫は、新潟が誇る春の宝石です。

いちごを使ったお酒と聞くと、最初から甘くフルーティーな香りが押し寄せるものを想像するかもしれません。しかし、私たちが目指したのはその逆でした。最初から「いちご」を主張する酒にはしたくなかったのです。

目指したのは、佐渡の越後姫という繊細な果実を、酒というキャンバスの「余白」に描くこと。果実を前面に出すのではなく、飲み込んだ後にふわりと訪れる気配として表現する。この奥ゆかしさこそが、SAKENOVAが提案する新しい果実酒の形です。

軽快さとボリューム感の共存、そして密やかな春の気配

今回は、醪日数は最も長い30日に設定し、ゆっくり発酵させていきました。
越後姫はもろみ後期に投入しています。甘酸っぱいお酒になるよう目指したものの、想定よりも酸度が高くならず、日本酒度は少しだけマイナスにふれ、そこからはゆるやかに切れていきました。低アルで飲みやすいけどボリューム感もあるお酒に仕上がりました。
さらりとした清涼感が舌の上を滑り、心地よい甘みが口中を満たす。そして酒が喉を通り過ぎた後、ふわりと越後姫の愛らしい果実味が戻ってくる。それはまるで、春の風が通り過ぎた後に残る花の香りのようです。

テイスティングノート

グラスを近づけると、まず感じるのは米由来の穏やかで上品な甘い香り。決して主張しすぎず、飲み手を優しく迎え入れるような控えめないちごの雰囲気も感じられます。

口当たりは優しくさらりとした清涼感が舌の上を滑っていく。しかし、その軽やかさのすぐ後ろには、しっかりとした甘みの骨格が存在し、心地よいボリューム感となって口中を満たす。甘さはベタつかず、洗練された透明感を保ったまま、なめらかに喉の奥へと落ちていく。

この酒の真骨頂は、飲み込んだ後に訪れる。酒が喉を通り過ぎた後、ふわりと、佐渡産「越後姫」の愛らしい果実味が戻ってくる。それはまるで、春の風が通り過ぎた後に残る花の香りのよう。甘やかな苺の記憶が、静かに、そして長く心地よく漂い続ける。

製品情報

アルコール度数: 12.5%
日本酒度: -5.93
酸度: 1.6
精米歩合: 60%
使用米: 麹: 山田錦、掛: こしいぶき
副原料: いちご(佐渡産越後姫)
火入れ: なし(生酒)
上槽時期: 2026年5月
内容量: 720mL