Brew Note:醸造の「記録」を、みんなと共に
「Brew Note」は、私たちの醸造における試行錯誤の「記録」です。完成された製品の裏側にある、私たち造り手の想いや挑戦の物語をありのままにお伝えすることで、一本のお酒が持つ価値をより深く感じていただきたいと考えています。この記録が、皆様にとって日本酒をより楽しむための新たな扉となることを願っています。

定番への道:#2に込められた挑戦
2026年の幕開けと共に始まった、Brew Note 003から005にかけての連続仕込み。それは、私たちの理想とする味わいを追求し、SAKENOVAの新たな「定番」となりうるレシピを確立するための、探求旅のようなものです。
005のテーマは「ハチミツ」。SAKENOVA BREWERYが自社醸造を始めて最初に手掛けたBrew Note 001と同じテーマへの再挑戦です。しかし、この「#2」という数字は、単なる原点回帰ではありません。それは、001の経験と、その後の学びの全てを注ぎ込んだ、全く新しい挑戦の証なのです。
001の向こう側へ:甘酸っぱい記憶の再構築

Brew Note 001 HONEYは、私たちにとって夢の始まりである、不安なスタートでした。しかし、その繊細で綺麗な味わいは、ある意味で私たちの「慎重さ」の結果でした。今回、私たちが目指したのは、001の延長線上にある「完成形」ではありません。それは、ハチミツという素材の持つ可能性を、全く異なる角度から引き出すことでした。
香り高きハチミツとの出会い
私たちは再び、佐渡産のハチミツを選びました。しかし、その種類は001とは異なります。001で使用したハチミツが「甘さ」に特徴があったのに対し、今回選んだのは、甘さは控えめながらも、花々の香りが豊かに広がる、極めてアロマティックなハチミツでした。
国内流通量がわずか0.2%と言われる国産ハチミツの中でも、さらに希少な佐渡産ハチミツ。その中でも、理想の香りを求めて養蜂家と対話を重ね、この特別なハチミツにたどり着きました。
「甘酸っぱさ」への設計思想
味わいの設計も、001とは大きく異なります。今回は、甘みと酸味が高次元で調和した「甘酸っぱいお酒」を目指しました。
そのために、私たちは初めて「一段仕込み」かつ「もろみ日数2週間」という、極めて挑戦的な製法を採用。短い期間で発酵をコントロールし、ハチミツを後期に投入することで、ハチミツの糖分をあえて残し、日本酒度-14.30という豊かな甘みを設計しました。
同時に、酸度も2.1と高めに設定。この緻密なバランス設計により、ただ甘いだけではない、爽やかで飲み飽きしない味わいを実現したのです。
さらに、001と002で直面した「米が溶けにくい」という課題に対して、仕込み温度を2.5度高く設定。この改善により、米の旨味と甘みを最大限に引き出し、酒化率の向上と粕歩合の低減という明確な成果を得ることができました。
テイスティングノート

外観
槽搾り後のおりをやや含んだ、柔らかな霞色。グラスを伝う液体は軽やかで、さらりとしたテクスチャーが、その飲みやすさを物語っています。
香り
グラスを近づけると、バナナやメロンを思わせる穏やかで優しい吟醸香。その奥から、今回主役となるハチミツの、花々を束ねたような華やかで豊かな香りがふわりと立ち上ります。それは001の繊細な香りとは異なり、より明確で、心を明るくするようなアロマです。佐渡の春、陽光を浴びて咲き誇る花畑の風景が目に浮かぶようです。
味わい
口に含むと、リッチでジューシーな甘みのアタック。その後、生き生きとした酸味がその甘みを鮮やかに縁取り、味わい全体を見事に引き締めます。それはまるで、上質な白ワインを思わせる、絶妙な「甘酸っぱさ」。軽快なボディと相まって、清涼飲料水のように心地よく喉を潤します。米がしっかりと溶けたことで生まれた滑らかなテクスチャーが、ハチミツの豊かな香りを優しく下支えし、鼻に抜ける華やかな香りが心地よく続きます。
製品情報

アルコール度数: 10.5%
日本酒度: -14.30
酸度: 2.1
精米歩合: 60%
使用米: 麹: 山田錦、掛: こしいぶき
使用酵母: 901
副原料: ハチミツ(佐渡産)
火入れ: なし(生酒)
上槽時期: 2026年2月
内容量: 720mL
