Brew Note:醸造の「記録」を、みんなと共に
「Brew Note」は、私たちの醸造における試行錯誤の「記録」です。完成された製品の裏側にある、私たち造り手の想いや挑戦の物語をありのままにお伝えすることで、一本のお酒が持つ価値をより深く感じていただきたいと考えています。この記録が、皆様にとって日本酒をより楽しむための新たな扉となることを願っています。
2026年、新たなる探求の幕開け

2026年の幕開けと共に、SAKENOVA BREWERYは次なるステージへと歩みを進めます。Brew Note 003から005にかけての連続仕込みは、単なる新製品開発ではありません。これは、私たちの理想とする味わいを追求し、SAKENOVAの新たな「定番」となりうるレシピを確立するための、集中的な探求の期間です。
副原料の種類、仕込みの温度、もろみの管理日数。一つ一つの要素を緻密に変化させながら、最高の組み合わせを模索します。
この挑戦の集大成は、にいがた酒の陣2026で披露される予定です。
003 APPLE & TOBISHIMA KANZO:佐渡に咲く幻の花との出会い

Crafted Seriesの第三弾で私たちが選んだのは、佐渡産の「りんご」と、島に初夏の訪れを告げる「トビシマカンゾウ」。馴染み深い果実と、知る人ぞ知る幻の花。この二つの素材が織りなす、未知なる香りの世界へと皆様を誘います。
佐渡に咲く幻の花、トビシマカンゾウ
トビシマカンゾウは、新潟県の佐渡島と山形県の飛島にのみ群生が確認されている、極めて希少なユリ科の植物です。毎年5月下旬から6月上旬にかけて、海岸沿いの丘陵地帯は、鮮やかな黄色の大きな花で埋め尽くされます。
その光景は、まるで夕日の光が地上に降り注いだかのよう。風に乗って運ばれてくるのは、ユリにも似た高貴さと、蜜のような甘さを併せ持つ、心を穏やかにする優美な香りです。私たちは、この佐渡だけの美しい原風景を、一本のSAKEに封じ込めたいと考えました。
進化する醸造技術:課題の克服と新たな調和
Brew Note 001と002で直面した「米が溶けにくい」という課題。私たちは003で、その解決に挑みました。仕込み温度を従来より2.5度高く設定することで、米の溶解を促進。その結果、米の旨味と甘みを最大限に引き出すことに成功し、酒化率の向上と粕歩合の低減という明確な成果を得ることができました。
もろみ後期、発酵が穏やかになったタイミングで、主役となる二つの副原料を投入します。手作業で丁寧に皮を剥き、ミキサーで破砕した佐渡産りんごの果汁を濾して加えることで、その柔らかな香りと自然な甘みをじっくりと醪に溶け込ませます。同時に、乾燥させたトビシマカンゾウを投入。りんごのフルーティーなアロマを優しく下支えしながら、その優美でエキゾチックな香りを繊細に添えました。
テイスティングノート

外観
槽搾り後のおりをやや含む霞色。粘性は軽やかで、さらりとした印象。
香り
グラスを近づけると、まず顔を出すのはきょうかい901号酵母由来の、バナナやメロンを思わせる穏やかで優しい吟醸香。その奥から、りんごの蜜を煮詰めたような甘く柔らかな香りがふわりと立ち上ります。さらに、アクセントとして加わるのがトビシマカンゾウの存在。ユリの花にも似た高貴でエキゾチックな香りが、これまでにない多層的で優美なアロマを形成しています。佐渡の初夏、夕暮れ時の海岸沿いに咲き誇るカンゾウの花畑と、その向こうに広がるりんご園の風景が目に浮かぶようです。
味わい
口に含むと、日本酒度-12.40が示す通り、りんご果汁をそのまま溶かし込んだような、リッチでジューシーな甘みが豊かに広がります。しかし、その甘みを酸度1.5の生き生きとした酸がダレさせることなく、味わい全体を見事に引き締めています。米がしっかりと溶けたことで生まれた滑らかなテクスチャーが、りんごの甘みとトビシマカンゾウのフローラルな含み香を優しく下支えし、口の中で一体となって広がります。アルコール度数12.5%の軽快なボディで、余韻はすっきりとキレが良く、鼻に抜ける甘く華やかな香りが心地よく続きます。
おすすめの飲み方とペアリング
ワイングラスに注ぎ、10℃前後に冷やしてお楽しみいただくのがおすすめです。温度が少し上がるにつれて、トビシマカンゾウの華やかな香りがより一層引き立ちます。
食前酒として、またはフルーツを使ったサラダや白身魚のカルパッチョと合わせて。また、その豊かな甘みは、食後のデザートワインとしても最適です。バニラアイスクリームやチーズケーキとの相性も抜群です。
製品情報

アルコール度数: 12.5%
日本酒度: -12.40
酸度: 1.5
精米歩合: 60%
使用米: 麹: 山田錦、掛: こしいぶき
使用酵母: 901
副原料: りんご(佐渡産)、トビシマカンゾウ(佐渡産)
火入れ: なし(生酒)
上槽時期: 2026年2月
内容量: 720mL
